
(左から、池田氏、所氏、橘)
北海道を中心に地域密着型の総合不動産サービスを展開する土屋ホーム不動産は、木造賃貸マンションと建売住宅にスマートホームサービス「HOMETACT」を導入した。寒冷地ならではの課題となっている冬場の生活負担を軽減しながら、入居者の暮らしの質を高めることで物件の価値も家賃も引き上げる──従来の賃貸経営や建売住宅販売の発想を転換する取り組みが始まっている。今回は、「HOMETACT」と業務提携を結んでいるJPMCの池田取締役 専務執行役員も交えて、HOMETACTの橘と対談を行った。
今回の対談者
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所 哲三 氏:株式会社土屋ホーム不動産 代表取締役社長
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池田 茂雄 氏:株式会社JPMC 取締役 専務執行役員アドミニストレーション本部長 兼 人事総務部長
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橘 嘉宏:株式会社HOMETACT 代表取締役 共同代表 COO
「HOMETACT」を知った1年後に導入企業側としてスピーチ
―土屋ホーム不動産さまの主な事業内容と、「HOMETACT」を知った経緯を教えてください。
所:弊社は北海道で不動産売買やリフォームなど、住まいに関わるあらゆるサービスを提供しています。「HOMETACT」を知ったきっかけは、2024年6月、JPMCさんが主催するパートナーズ大会というイベントでした。この時に、「HOMETACT」のサービスについて伺いました。実は、この日の帰り道には、「導入しよう」とほとんど決めていました。

池田:橘さんに登壇いただき、弊社がHOMETACTさんとともに、持続可能な賃貸経営を推進していくビジョンなどをご説明した大会でしたね。翌年のパートナーズ大会では「HOMETACT」を実際に導入した企業として、土屋ホーム不動産さんにはパネルディスカッションにご参加いただきました。導入による変化や今後の展望をお話しいただいたスピーチが、非常に印象的でした。
橘:2024年のパートナーズ大会で「HOMETACT」を知り、翌年の大会では採用実績を発表していただけたスピード感に驚きました。初めて「HOMETACT」を見た日に、導入すると決めていただけた理由は、どんなところにあったのでしょうか?
所:弊社は賃貸物件の管理も担っていますが、「家賃を上げられない」、「空室が出る」といった課題に直面していました。さらに、建売住宅の販売においても、差別化の難しさも感じていました。「HOMETACT」の説明を受けた時、「これらの課題解決に有効なのではないか」と直感で感じました。最初にパートナーズ大会へ参加した時は、弊社が木造の中層賃貸の管理を始めるタイミングで、この物件に「HOMETACT」がフィットするイメージも湧きました。わずか1年のスピード感で導入実績を発表できたのは、「HOMETACT」の導入効果が分かりやすく、イメージしやすかったことが理由です。

自分好みにカスタマイズ 「HOMETACT」に感じた将来性
―特に「HOMETACT」のどんなところに惹かれて導入を決めましたか?
所:大掛かりにリフォームして新しい設備を付けるのではなく、ネットワークによって様々な機器と連動できるところに最も魅力を感じました。これは非常に発展性があり、その人に合った形でカスタマイズできます。暮らしのスタイルや好みで機器をつなげていけるのは使い勝手が良いですし、これからの時代にマッチしていると考えました。
池田:私たちの会社はサブリースによる賃貸経営代行を全国47都道府県で展開しています。運用側がリノベーションや設備導入によって物件の価値向上を図ること今までもありましたが、ホームタクトを採用した物件では入居者自身が自らスピーカーや照明などを購入して「HOMETACT」に連携させています。入居者自身が物件の価値を上げているわけです。これは今までの賃貸には全くなかった感覚だと思っています。

橘:今のお話は、かなり早い段階で「HOMETACT」のインフラとしての価値に注目していただいたことが分かる象徴的な内容です。「HOMETACT」は、最新のソリューションやサービスを取り入れやすい環境を整えるインフラとしての役割があると自覚しています。まさに、そこを上手く活用していただけているのが両社だと思っています。弊社だけではリーシングのメソッド提供まで、やりきれない部分があります。そこをJPMCさんとパートナーを組ませていただくことで、「HOMETACT」が初めてスマートホームサービスの枠を越えて不動産ソリューションになるので、私たちにとっても非常にありがたいところです。

所:北海道民に響く「HOMETACT」の魅力には、冬の生活を便利で快適にしてくれるところもありますね。雪が降る中、買い物を済ませたお母さんが片手でお子さんを抱っこして、もう片方の手に荷物を持っていたら鍵を開けるのに一苦労です。スマートロックがあれば、こうした問題を解消できます。帰宅時間を逆算して「HOMETACT」でエアコンをつけておけば、帰った時には部屋が暖まっている状態にすることができます。「HOMETACT」を活用するシーンは、多くの人が共感できるはずです。
池田:雪国の生活は不便で仕方ない、問題は解決できないと刷り込まれてしまっている面があるかもしれません。それが解消されると、すごく生活が快適になるのは間違いありません。たくさんの人たちに「HOMETACT」を知っていただき、体験してもらいたいですね。
「光熱費が高いのは仕方ない」 賃貸入居者の“あきらめ”を変える
―賃貸物件の管理で、北海道ならではの事情や課題はありますか?
所:北海道は冬場、燃料費が家計の大きな負担になります。光熱費が高いのは仕方ないと受け入れる一方、家賃が高いのは受け入れられにくい傾向が強いと感じます。弊社では、国が打ち出した方針にもあるように、賃貸物件の光熱費を可視化する取り組みを積極的に進めています。省エネ機能の高い物件であればどれだけ光熱費を抑えられるのか、数字を交えて分かりやすく説明すると、家賃に対する考え方にも変化が生まれます。

池田:入居者の方々は、家賃はいくら以内と基準を設ける一方で、光熱費には明確な上限を設けていないんですね。家賃だけで物件が高いのか安いのかを判断するのではなく、光熱費と合算して考えるべきです。北海道をはじめ光熱費が高い寒冷地ほど、入居者の負担は大きくなります。御社のように、光熱費を圧縮できることを可視化できれば家賃を上げられますよね。家賃と光熱費を合わせた金額が少なくなれば、結果的に家計の負担を小さくできるわけですから。
橘:物件はオーナー目線が当然大事ですが、これからは入居者目線を大切にしていくことによって、物件の価値が上がっていくと思います。物件の価値が向上すれば、入居者、オーナー、事業者の三方良しの状況になります。これは、今までの賃貸物件にはなかった形だと考えています。
池田:弊社が「HOMETACT」に取り組んだ入口は、「どうやって家賃を上げるか」でした。ところが、今は「どれだけ入居者の生活を豊かにできるか」に視点が変わってきています。マーケットの観点では、家賃は都市の規模や駅からの距離で決まってきます。そうした既存の価値観だけではなく、暮らしを豊かにする設備にも対価を払う層が出てきていると肌で感じています。その流れが広がっていくと、業界に大きなインパクトを与えられると思います。

木造賃貸に「HOMETACT」導入 新たなモデルケース創出へ
―土屋ホーム不動産さまが今回「HOMETACT」を導入した賃貸マンション「LAPEACE(ラピス)」は木造3階建てです。鉄筋(RC)と比べて、木造にはどんなメリットがありますか?
所:メリットは色々とありますが、調湿機能の高さも1つです。木造でしっかりと暖かさを保てる建物にすれば、結露を防ぐことができます。木造はひと昔と違って、今は築30年経過しても全く問題ありません。特に北海道の建物は本州に比べると重厚な造りになっています。耐久性に優れ、積雪荷重にも耐えられます。それは同時に耐震強化にもつながります。
橘:断熱性を向上させることで、防音性も高まりますよね。「HOMETACT」はRCの建物にもたくさん導入いただいていますが、木造・木質化と最新技術のスマートホームを掛け合わせた時に、今までにないアセットが生まれると感じています。RCは今後どんどん値段が上がっていくと予想される中、木造の可能性がより業界全体で真剣に探求されていくようなフェーズに入っていくのではないでしょうか。「LAPEACE」をはじめとする土屋ホーム不動産さまの物件が「木造」×「スマートホーム」のモデルケースの1つとなるよう、一緒にプロモーションしていけたらと思っております。
導入後のサポートも充実 三菱地所グループの「絶対的な安心感」
―導入後のサポート面で、「HOMETACT」の良さを感じた部分はありましたか?
所:導入したら終わりではない、サポート体制の充実も感じています。そして、何よりも三菱地所グループが運営するサービス、という点に対して絶対的な安心感を抱いています。住宅を建てると、10年後、20年後に建築当時の工務店が倒産しているケースが少なくありません。事業者にとっても、住む方々にとっても、商品やサービスの継続性や安定性は非常に重要です。使っていたサービスが突然打ち切られてしまったら、困ってしまいますよね。その点、日本を代表する企業グループの1つである三菱地所グループのHOMETACTさんには全幅の信頼を寄せています。

池田:そのお考えは、すごく分かります。スマートホームに限りませんが、インフラを導入する際は、持続的なサービス提供が可能なのかが一番重要です。サービスを選定する基準で、最も優先順位が高いのではないでしょうか。
所:私にとっては、そこが最優先です。弊社の創業者も、住宅を建ててくれたお客さまの保証に重点を置いていました。一度建築したら、最後までサポートする。途中で放り出してしまったら、お客さまを裏切る形になってしまいます。
橘:身の引き締まる思いです。「HOMETACT」を継続する重大な責任を感じますし、これほどやりがいのある仕事は他にありません。かつての不動産業界は「売ったら終わり」の時代もありましたが、今はお客さまとの関係性を前提にしなければ、持続性のある事業になりません。自社が建設したり、管理したりしていない物件であってもサービスを提供することで物件価値に貢献できることは、今までの業界にない役割だと思っています。

池田:HOMETACTさんの役割や責任は大きいですよ。賃貸物件でも購入物件でも、自分の暮らしを豊かにするツールとして「HOMETACT」が活躍するところがおもしろいですよね。
所:賃貸の物件に住む方たちは、自分の資産ではないので不便でも仕方ない、寒くても仕方ないとあきらめがちです。しかし、「HOMETACT」のある生活を体験すれば、不便ではない賃貸があると必ず分かります。「HOMETACT」の機能を使えば、いままで自分がどんな生活をしていたのか、をより理解できますから。
橘:「自分の生活を理解する」という表現は、非常に分かりやすいです。住宅はハウスメーカーやデベロッパーから与えられるものではなく、「あなたたちのもの」なんです。私は講演などで、「家の民主化」という言葉を使っていました。自分の生活の問題点や悩みを理解して、もっと便利で快適な選択肢があると知ることが重要です。それを知ってもらうためにも、「HOMETACT」の価値をより分かりやすく伝える役割にも一層力を入れていきたいと考えています。
