
「賃貸にスマートロックを入れると、防犯面はどうなるのか」。物件の付加価値を考える管理会社様・デベロッパー様にとって、気になるところではないでしょうか。
スマートロックは、鍵の閉め忘れ防止や、鍵の紛失リスクの低減といった点で、物件の防犯性を高められる設備です。一方で、締め出しや停電時の動作といった注意点もあります。
この記事では、前半で警察庁の統計をもとにスマートロックの防犯効果と注意点を整理します。そのうえで後半では、共用部や補助錠との組み合わせ方、そして新築・既存それぞれの物件への導入方法を、事業者向けに解説します。
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▼この記事でわかること ・警察庁の統計から見る、スマートロックの防犯効果 ・注意点の要点(詳細はデメリット記事へ) ・共用部オートロック・補助錠・防犯サムターンとの組み合わせ方 ・新築/既存物件それぞれへの導入方法 |
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賃貸のスマートロックは防犯になる?

まず、物件にスマートロックを導入すると、防犯面でどう役立つのかを整理します。警察庁「住まいる防犯110番」の「手口で見る侵入犯罪の脅威」によると、令和7年(2025年)に3階建以下の共同住宅で発生した侵入窃盗2,675件のうち、最も多い侵入手口は鍵のかけ忘れである「無締り」で、1,268件(47.4%)を占めています。スマートロックは、この最多の手口に直接効く設備といえます。
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▼この章で分かること ・防犯①|閉め忘れを防ぐ自動施錠 ・防犯②|物理鍵の紛失・複製リスクを減らす ・防犯③|解錠履歴・通知で異常に気づける |
防犯①|閉め忘れを防ぐ自動施錠
スマートロックの多くは、ドアが閉まると自動で施錠するオートロック機能を備えています。これにより、鍵の閉め忘れを防ぎ、施錠忘れによる侵入のリスクを下げられます。
防犯は、入居者様一人ひとりの意識に左右されがちです。オートロックなら、意識に頼らず仕組みとして施錠を担保できるため、物件全体の防犯性を底上げできます。
防犯②|物理鍵の紛失・複製リスクを減らす
スマートロックは、スマホや暗証番号で解錠できるため、入居者様は物理鍵を持ち歩かずに済みます。これにより、鍵の紛失や、合鍵の無断複製によるリスクを物件全体で減らせます。
さらに、アプリや暗証番号の権限は退去時に停止できるため、デジタルキーの回収漏れを防げ、入退去時の防犯性も保てます。物理鍵を併用する場合は、従来どおりシリンダー交換も検討します。前述の警察庁の統計(令和7年)では、3階建以下の共同住宅で「合かぎ」による侵入が346件(12.9%)と、無締り・ガラス破りに次いで3番目に多くなっています。物理鍵の受け渡しを減らせるスマートロックは、この合鍵リスクを抑える意味でも有効です。
防犯③|解錠履歴・通知で異常に気づける
スマートロックには、いつ誰が解錠したかの履歴が残り、アプリで確認できるものがあります。日々の出入りを把握でき、不審な解錠にも気づきやすくなります。
解錠時に通知を受け取れる製品もあります。異常に早く気づけるため、高齢者の見守りや、不審な動きの把握にも役立ちます。
スマートロックの防犯面の注意点

スマートロックには注意点もあります。締め出しや情報面の注意点といったデメリットの詳細は、別記事でくわしく解説しています。ここでは、防犯を考えるうえで押さえるべき要点に絞ってお伝えします。
>>関連記事:賃貸のスマートロックのデメリットと対策はこちら
締め出しや情報セキュリティの要点は、次のとおりです。電池切れや停電での締め出しには、物理鍵の併用や非常解錠の手段で備えます。通信・アプリの安全性は、暗号化や認証がしっかりした信頼できる製品を選ぶことで確保します。いずれも、詳細は上記のデメリット記事をご覧ください。
賃貸の防犯を高める組み合わせ方

スマートロック単体ではなく、共用部や補助錠と組み合わせることで、物件の防犯性はさらに高まります。防犯ならではの組み合わせ方を解説します。
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▼この章で分かること ・共用部オートロックとの連携 ・補助錠・1ドア2ロックとの組み合わせ ・防犯サムターンでサムターン回しを防ぐ |
共用部オートロックとの連携
エントランスの共用オートロックと、住戸のスマートロックを連携させると、建物の入口と住戸の二段階で防犯できます。エントランスを突破されても、住戸側で自動施錠されていれば、侵入のハードルは大きく上がります。
スマホや顔認証でエントランスから住戸まで通して解錠できる仕組みは、入居者様の利便性と防犯性を両立します。物件全体の防犯設計として、共用部と住戸をあわせて考えることが大切です。
補助錠・1ドア2ロックとの組み合わせ
1つのドアに錠を2つ設ける「1ドア2ロック」は、侵入に時間をかけさせる基本の対策です。警察庁「住まいる防犯110番」の「侵入者プロファイリング~心理と行動③」で紹介されている(財)都市防犯研究センターの元侵入窃盗犯への調査では、侵入をあきらめる時間を「2分以内」と答えた人が17.1%、「2分を超え5分以内」が51.4%でした。侵入に5分以上かかれば、約7割(68.5%)があきらめる計算です。
ここで注意したいのが、貼り付け型のスマートロックは、今ある錠のつまみ(サムターン)を自動で回す仕組みのため、それ自体では錠の数は増えないという点です。ドアにもともと錠が2つある場合は、その一方をスマートロック化することで「2ロック+自動施錠」にできます。錠が1つしかないドアで2ロックにするには、補助錠を別途追加する必要があります。
防犯サムターンでサムターン回しを防ぐ
「サムターン回し」は、ドアの外から工具を使い、内側のつまみ(サムターン)を回して解錠する手口です。後付けの貼り付け型スマートロックは、この耐性が元の錠前しだいになります。
対策として、空回りや取り外しの機構を持つ防犯サムターンと組み合わせる方法があります。物件側で製品を選ぶ際は、スマートロックと防犯サムターンをあわせて導入できるかを確認すると、防犯性を高められます。
新築物件にスマートロックを導入する場合

ここからは、物件への導入方法を、新築と既存に分けて解説します。まず、デベロッパー様が新築物件に導入する場合です。設計段階から組み込めるため、防犯設計の自由度が高いのが特徴です。
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▼この章で分かること ・設計段階からのビルトイン導入 ・共用部・住戸をまとめた防犯設計 ・商品力への効果 |
設計段階からのビルトイン導入
新築では、スマートロックを設計段階からビルトインで組み込めます。配線や通信環境もあわせて計画でき、後付けのような適合確認の制約を受けにくいのが利点です。
電源を建物側から確保する方式を選べば、電池切れによる締め出しのリスクも抑えられます。新築ならではの、根本からの防犯設計が可能です。
共用部・住戸をまとめた防犯設計
新築では、エントランスの共用オートロックと住戸のスマートロックを連携させる前提で、配線や通信を設計段階から一体で計画できます。入居が始まってから連携を後付けする必要がなく、竣工時から連携した状態で引き渡せるのが新築ならではの利点です。
商品力への効果
防犯性の高さは、新築物件の商品力に直結します。「防犯・スマートホーム対応」は分譲・賃貸いずれでも強みになり、賃貸では早期の成約、分譲では販売時の訴求につながります。また、標準仕様にしておけば、竣工時から全戸を同じ仕様・運用にそろえられ、入居後に住戸ごとの個別対応をする必要もありません。
既存物件にスマートロックを導入する場合
次に、管理会社様が既存物件に導入する場合です。工事を抑えつつ、後付けで防犯性を高める方法が中心になります。
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▼この章で分かること ・工事不要の後付けで導入する ・既存錠を活かした2ロック化 ・導入後の運用・サポート体制 |
工事不要の後付けで導入する
既存物件では、両面テープで貼り付けるタイプなど、工事不要の後付けが現実的です。原状回復しやすく、入居中の住戸にも導入しやすいのが利点です。
導入前には、ドアやサムターンの形状が製品に適合するかを、物件全体でまとめて確認しておきます。
>>関連記事:賃貸のスマートロックの後付けについて詳しくはこちら
既存錠を活かした2ロック化
既存物件での2ロック化は、ドアの錠の数によって考え方が変わります。もともと錠が2つあるドアなら、その一方を貼り付け型でスマートロック化することで、既存の2ロックを保ったまま、自動施錠を上乗せできます。
錠が1つのドアを2ロックにしたい場合は、スマートロックとは別に補助錠を追加します。貼り付け型スマートロックは既存の錠のつまみを回す仕組みのため、それ自体では錠の数が増えない点に注意が必要です。
貼り付け型でサムターン回しが不安な場合は、前章の防犯サムターンとの組み合わせを検討します。
導入後の運用・サポート体制
既存物件では、入居者様からの締め出しや不具合の問い合わせに、誰が対応するかが重要です。サポート窓口や駆けつけ対応のあるサービスを選べば、管理会社様の負担を抑えられます。
複数の物件や多数の戸数を、1つの管理画面でまとめて権限管理・運用できるかも、あわせて確認しましょう。
賃貸物件のスマートロック・防犯対策なら『HOMETACT』

ここまで解説した防犯面のポイントに応えられるサービスもあります。その一つが、三菱地所グループが提供する総合スマートホームサービス『HOMETACT(ホームタクト)』です。
『HOMETACT』は、特定のメーカーに依存せず、スマートロックを含む多様な機器を1つのアプリで一元管理できます。共用部との連携や、複数物件の一元管理にも対応しており、防犯の観点で確認したい連携・管理の要件に応えやすい仕組みです。新築のビルトインから既存物件の後付けまで対応できるため、本記事で見た新築・既存どちらの導入方法にも適しています。
締め出しなどのトラブルに対しては、365日、10時〜21時に有人のコールセンターが入居者様からの問い合わせに対応し、駆けつけにも対応します。
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まとめ

スマートロックは、侵入手口で最も多い鍵のかけ忘れ(無締り)を、オートロックで防げる防犯設備です。警察庁の統計でも、侵入手口の最多は無締りであることが示されています。
防犯性をさらに高めるには、共用部オートロックとの連携や、補助錠・防犯サムターンとの組み合わせが有効です。物件への導入は、新築なら設計段階からのビルトイン、既存なら工事不要の後付けと、物件の状況に応じて方法を選びます。
締め出しや情報面の注意点といったデメリットの詳細は、関連記事もあわせてご覧ください。
参考:警察庁「住まいる防犯110番」手口で見る侵入犯罪の脅威(令和7年データ)、侵入者プロファイリング~心理と行動③
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_d_1.html
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_e_3.html
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※本記事は2026年10月時点の情報を基に執筆しております。