(左:橘氏、中央:豊後氏、右:今井氏)
いよいよ「HOMETACT」が関西エリアへの進出も果たした。京阪電鉄不動産が開発した大規模賃貸タワーレジデンス「THE TOWER HIRAKATA」に全戸標準採用された。この物件は大阪府・枚方市駅周辺で進められている京阪グループの再開発事業の象徴となるマンションで、同社のフラッグシップ物件として「HOMETACT」のみならず、DXYZの顔認証プラットフォーム「FreeiD」も採用。関西圏ではかつて例のない、最新技術を存分に取り込んだ賃貸マンションとして話題をさらっている。物件の評判は地元に限らず広域に及び、リーシング状況は想定を大きく上回る状況とのこと。今回のインタビューでは「THE TOWER HIRAKATA」の開発担当者のお二人、京阪電鉄不動産の豊後氏・今井氏から「HOMETACT」導入を決めた経緯や導入後に実感した成果、今後の取り組みに対する期待などを語っていただいた。対談をさせていただいたのは事業責任者の三菱地所の橘。導入のきっかけは2022年のとある展示会での「HOMETACT」への“一目惚れ”から・・・。
―2024年5月に完成した賃貸タワーレジデンス「THE TOWER HIRAKATA」は、どのような物件になりますか?
豊後:建物は地上29階建てで、総戸数は202戸。そのうち地権者住戸を除く198戸を賃貸マンションとしてリーシングしています。京阪グループ肝入りの枚方市駅前再開発事業ということもあり、新しい街のランドマークとして注目していただいています。また、2024年9月6日に無事にオープンを迎えた商業施設「枚方モール」とも直結しており、高い利便性をご評価いただいております。
橘:御社のフラッグシップ物件である「THE TOWER HIRAKATA」に「HOMETACT」を全戸標準採用していただきました。関西では初めてのマンション導入であることはもちろんのこと、これほど大規模な物件での採用は我々にとっても初めてのことでした。今回、メインエントランスやエレベーターといった共用部にDXYZの顔認証プラットフォーム「FreeiD」も採用したのも特徴の一つですね。
―どのようなきっかけで「HOMETACT」を知ったのでしょうか?
豊後:2022年の夏に行ったスマートハウスの展示会で初めて知りました。実は当時、特に「THE TOWER HIRAKATA」を意識して展示会を訪れたわけではなく、販売が進み始めた別の物件で何か生かせる商品が展示されていないか探していたんです。会場を回っていると、三菱地所さんのブースで「HOMETACT」が紹介されていました。「スマートフォン1つで全ての住宅設備・家電が動かせる」とうたっていたので興味を持って説明を伺うと、「これは、ものすごく便利。どこか導入できる物件はないだろうか」と考えたのがきっかけです。
今井:私も豊後と一緒に展示会へ行きました。日常的に商品企画を担当しているので、IoT住宅設備やスマートホームサービス、スマートロックなどが増えていることは知っていました。ただ、エアコンや照明など1つ1つを動かすために違うアプリを入れる必要があって、かえってユーザーは面倒ではないかと感じていました。お客様への説明やアフターケアを考えた時、1つのアプリで網羅できるサービスはないのかなとずっと思っていました。そんな時に、三菱地所さんが「『HOMETACT』ならできますよ。さらに未来を見据えて拡張性もあります」と打ち出していたので、一気に興味を引かれました。私も豊後と似ていて、展示会では今後の物件に生かせる商品を探すつもりでした。ところが、「HOMETACT」のブースで説明を聞いて、「『THE TOWER HIRAKATA』に何とか導入できないかな」と考えながら帰宅した記憶があります。
橘:大阪で開催された2022年のスマートハウスEXPOに、「HOMETACT」のデモルームを出展しました。お二人は私服姿でも妙に貫禄があったので、投資用マンションのデベロッパーの方かなという第一印象でした(笑)。この時の出会いがきっかけで「HOMETACT」に興味を持っていただき、展示会の1か月後くらいにはすぐに大阪に訪問して打ち合わせを実施させていただきました。
今井:その段階で「THE TOWER HIRAKATA」の設計プランは概ね固まっていて、大規模な変更はできない状況でした。一方で、より高付加価値・高単価の賃貸物件を目指さなければいけない状況でもありました。全202戸の大規模物件であり、ハードや立地のみならず、なにかソフト面での付加価値を考えていた中で、「『HOMETACT』しかない!!」という考えで打ち合わせを設定させていただきました。
橘:お二人のスピード感には私も驚かされました。そのタイミングで、比較検討されているサービスは他にもあったのですか?
豊後:実は当時、建築工事費の高騰を受け、仕様の見直しもせざるを得ない状況でした。しかし、いたずらに仕様を下げるだけでは、お客様の満足度は下がっていく一方です。そこで、ソフト面や顧客体験をさらに充実させることで、物件価値を上げることに真剣に取り組む必要があったのです。スマートホームに関しては、他の会社のサービスも見ていましたが、「これだ!」というものに出会えず、物件の開発スケジュールが差し迫る中、決め手に欠ける商品企画に少し焦っている面がありました。
―どんなところに魅力を感じて「HOMETACT」導入を決めましたか?
今井:一番は拡張性ですね。マンションは計画から完成まで1年、2年とかかります。最先端のIoT導入を打ち出しても、お客様が入居する時には当たり前の設備やサービスになっているケースが少なくありません。その点、「HOMETACT」は1つのアプリで幅広く網羅するだけではなく、さらに機能を拡張できます。お客様に勧めやすいですよね。サービスを運営している三菱地所が、自らの物件でも安定的に運用できているサービスである、という点も前向きに導入できたポイントでした。
豊後:拡張性は他のサービスにはない特長だと思います。アプリ1つで何でもできるので利便性に優れていますし、アプリの画面がシンプルで分かりやすいところも使いやすいですね。それから、導入の際に特別な工事が必要ないところもありがたかったです。「HOMETACT」導入を決めたのは開発スケジュールの終盤でしたが十分に対応できました。入居後にも入居者自身が機能を拡張できる「HOMETACT」は、「入れておしまい」「作っておしまい」ではなく、未来の入居者に対して進化し続けることが求められる賃貸物件との親和性の高さを感じました。
橘:昨今は工事費の高騰が止まらない状況になっていますし、ただでさえコスト削減!と口うるさく言われている状況だと思いますが、ソフト面とはいえ「HOMETACT」を導入すればランニングコストがかかります。社内の説得は難しくなかったですか?
豊後:橘さんからご提供いただいた資料を活用しました。すでに「HOMETACT」を採用している他の物件では、どのくらい賃料が上がっているのか実績を示すことで社内は納得していました。コストが上がっても、その分を賃料で補えるというシンプルなロジックですが、これ以上の説得材料はないと思います。地域NO.1物件、NO.1の賃料を目指すのだから、これぐらいの設備は入れないと、という思いで話を進めてきました。
―「THE TOWER HIRAKATA」は「HOMETACT」と併せて、DXYZの顔認証プラットフォーム「FreeiD」とライナフのスマートロック「Ninja Lock M」も導入しています。採用した理由を教えてください。
今井:メインエントランスやエレベーターといった共用部に「FreeiD」、全戸の玄関ドアに「Ninja Lock M」を導入しました。これによって、共用部分は手を使わずに顔認証だけで解錠が可能となり、各部屋はアプリまたはパスコードで玄関の鍵を開け閉めできます。賃貸物件で鍵やセキュリティにどこまでコストをかけるのかという議論は各社でもあるかもしれませんが、私たちは物件の先進性やセキュリティをアピールする上では十分にメリットとなると考えています。マンションや部屋への出入りは毎日のことなので、入居者の方々は鍵を持ち歩いたり、取り出す手間が省けて便利に感じていただけるはずです。
豊後:スマートロックは物件の管理運用面でも非常に便利です。内覧会でお客様を案内する際は一時的に有効なパスコードを発行できるので、鍵を取りに行ったり戻したりする時間や手間が省けますし、各部屋の鍵の締め忘れを心配する必要もありません。「HOMETACT」を活用すれば、お客様の内覧の時間に合わせて遠隔からエアコンをつけたり、床暖房をつけておくこともできます。誰かが現地に行かなくても済むのはオペレーションで有利になると実感しました。枚方市駅エリアには新しい賃貸物件が、ほとんどありません。私も営業をやっていたので分かるのですが、案内に手間がかかる物件は入居者が決まりにくいのです。「THE TOWER HIRAKATA」のように、営業担当が案内しやすく、リーシングが円滑に進む物件が大阪エリアに広がってほしいと思っています。
―実際の入居者からは、どんな声が届いていますか?
豊後:若い方を中心に、「こういうマンションに住みたかった」、「こういう生活を求めていた」という声をいただいています。新しさや便利さに喜んでいました。「HOMETACT」の機能を知れば知るほど、色んな活用法があるなと感じています。
橘:「HOMETACT」には「シーン」という機能があって、生活習慣に合わせた複数の機能を同時に作動できます。例えば、我が家では息子2人を毎朝起こすため、朝6時になるとカーテンが開いて照明がつき、「HOMETACT」と連携しているAlexaからニワトリの鳴き声が流れます。娘を寝かせる時の「シーン」も設定していて、「Alexa, ねんね」というと寝室の電気が消えてオルゴールが流れます。娘が保育園でお昼寝している時と同じ状況を自宅でもつくることで、眠りにつきやすくなります。「シーン」は「HOMETACT」の楽しみ方の1つです。私は子どもと一緒に汗だくで外で遊んだ後、自宅のエアコンをつけて、帰宅したら直行できるようにお風呂を沸かしておきたいと思うことがよくありますが、そういったことも 「HOMETACT」では簡単に実現できます。
―京阪電鉄不動産として、「HOMETACT」に今後期待することはありますか?
豊後:弊社グループの戸建てや分譲マンションでの活用も検討していきたいと考えています。
今井:やはり、分譲にも入れたいですよね。スマートフォンは現代で欠かせないものになっていて、年配の方もお子さんも持っています。分譲や賃貸、戸建てでもスマートホームが当たり前になるところまで社会の認識が変わっていくとうれしいですね。「HOMETACT」には、これからも我々の商品企画に伴走していただき、一緒に次世代の生活のあり方を考えていけるような関係を期待しています。
橘:お任せください!ふたりにはどこまでも付いていきますよ!!!(笑)突き抜けた圧倒的商品開発をして、関西エリアのお客様にもスマートライフをどんどん体験していただきましょう。
橘:スマートホームを普及させるために私たちは日々頑張っているので、非常にうれしい言葉です。「HOMETACT」は住宅業界の新しいインフラとなるようにサービスを拡大していきたいと思っています。今回、関西エリアで初めて「HOMETACT」を導入できたのは弊社としても非常に意義が大きく、関係者向けの内覧会を境目に問い合わせが大幅に増えました。これからも京阪電鉄不動産様と協力して、分譲でも賃貸でも「HOMETACT」を活用していただければと思っております。
豊後:私たちとしても「THE TOWER HIRAKATA」を皮切りに、関西圏に「HOMETACT」の普及を広げていきたいと考えています。今後も良きパートナーとして、よろしくお願いいたします。